競技・種別・種目の違いをオリンピック憲章から読み解く【sports/disciplines/events】

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2020年東京オリンピック競技大会関連の記事を読んでいると、「競技・種別・種目」という言葉をよく目にします。馴染みがある言葉ですが、何となく区別はできるものの、それらを説明するのは難しいという事に気づきました。

 

そのため、今回は、その3つの言葉の定義についてオリンピック憲章で検証してみます。また、実際に夏季オリンピック競技大会と冬季オリンピック競技大会の「競技・種別・種目」の例も紹介したいと思います。 

 

オリンピックの競技・種別・種目の違い

日本語版オリンピック憲章には競技・種別・種目はどう書かれている?

2020年7月17日から有効である日本語版オリンピック憲章P.72の「オリンピック競技大会のプログラム」では、以下のように記されています。

2. プログラムは 2 つの要素から成り立つ。 それは以下の通りである。

2.1 特定のオリンピック競技大会での全競技を包括する競技のプログラムで、 IOC の承認 する IF が統括する競技の中から総会が決定したもの (「競技プログラム」)

2.2 IOC 理事会が定めた、 特定のオリンピック競技大会での全種目を包括する種目のプロ グラム(「種目プログラム」) 種目は1競技における特定の試合で、順位が確定し、メダルおよび賞状の授与につながるものである。 種目プログラムは、 競技プログラムに含まれている各競技の種目を含まなければならない。

*IOCは国際オリンピック委員会(International Olympic Committee)の略称、IFは国際競技連盟(International Sports Federations)の略称。

 

簡単に言うと、競技の中に種目があり、この種目の試合でメダル獲得争いが行われ順位が決定する・・・と意味するかと思います。

 

しかし、これでは「競技・種別・種目」の中の2つのみなので、種別が定義されている箇所も探す必要があります。

 

今度は、遡って2011年7月8日から有効である日本語版オリンピック憲章P.72の「オリンピック競技大会のプログラム」を調べると・・・「競技・種別・種目」全ての記載ありました。

プログラムは競技、種別、種目で構成される。競技とは、規則46付属細則1と規則46付属細則2に記載された IF が統轄する競技を指す。種別とは、競技の一部門で、一つもしくはいくつかの種目からなる。種目とは、競技またはその種別における競争で、結果として順位を生むものであって、メダルや賞状の授与のもととなる。 

 

つまり、カテゴリーの大きさ順に並べると競技>種別>種目ということが分かりました。

 

体操を例に挙げて説明すると、

 

競技 = 体操

 

種別 = (1)体操競技、(2)新体操、(3)トランポリン

 

種目 = (1)団体、個人総合、種目別ゆか、種目別跳馬、種目別つり輪、種目別あん

     馬、種目別平行棒、種目別鉄棒、種目別段違い平行棒、種目別平均台、

     (2)個人総合、団体、(3)個人

 

といったような区分分けになります。

 

では、次に実際に2020年東京オリンピック競技大会を例にどのような競技、種別、種目が存在してたのかを見てみましょう。

 

2020年東京オリンピック夏季オリンピック競技

2020年東京オリンピック競技大会では、33競技339種目で行われました。日本オリンピック委員会に掲載されている33競技一覧はこちらです。

 

1.陸上競技

2.水泳

3.サッカー

4.テニス

5.ボート

6.ホッケー

7.ボクシング

8.バレーボール

9.体操

10.バスケットボール

11.レスリング

12.セーリング

13.ウエイトリフティング

14.ハンドボール

15.自転車

16 .卓球

17.馬術

18.フェンシング

19.柔道

20.バドミントン

21.射撃

22.近代五種

23.ラグビーフットボール

24.カヌー

25.アーチェリー

26.トライアスロン

27.ゴルフ

28.テコンドー

29.野球・ソフトボール

30.スポーツクライミング

31.空手

32.サーフィン

33.スケートボード

 

ちなみに、今季オリンピック大会で新しく追加された競技は野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンなんだそうです。

2020年東京オリンピック夏季オリンピック種別

基本的に1競技1種目なのですが、先ほど例に挙げた体操のように、1競技につき1つまたは複数の種別があり、さらに種目に区分が細分化されている競技もあります。2020年東京オリンピック競技大会で、種別のある競技は、水泳、バレーボール、体操、バスケットボール、レスリング、自転車、馬術、射撃、カヌー、空手でした。

以下の通りです。

 

水泳

(1)競泳

(2)マラソンスイミング

(3)飛込

(4)水球

(5)アーティスティックスイミング

 

バレーボール

(1)バレーボール

(2)ビーチバレーボール


体操

(1)体操競技

(2)新体操

(3)トランポリン

 

バスケットボール

(1)バスケットボール

(2)3x3

 

レスリング

(1)フリースタイル

(2)グレコローマンスタイル

 

自転車

(1)トラック

(2)ロード

(3)マウンテンバイク

(4)BMXレーシング

(5)BMXフリースタイル

 

馬術

(1)障害馬術

(2)馬場馬術

(3)総合馬術

 

射撃

(1)ライフル射撃

(2)クレー射撃

 

カヌー

(1)スプリント

(2)スラローム

 

空手

(1)形

(2)組手

 

しかしながら、意味の複雑さのためか、オリンピック関連の公式サイトを見ても、あまり種別という言葉は使われていない印象を受けました。先ほど紹介した2020年度のオリンピック憲章でも種別の定義の記載が省かれていた理由は、そのためだったからかもしれません。あくまでも、個人的な推測ですが・・・。

2020年東京オリンピック夏季オリンピック種目

2020年東京オリンピック競技大会で実施された33の競技の種目数とそれらの合計を図にしました。(種別の)各種目は、さらに男子、女子、混合にも分かれたり、男子にはあって女子にはなかったり(またその逆もしかり)するので、全体の種目数は少し前後します。

東京2020オリンピック競技大会競技別種目数

東京2020オリンピック競技大会競技別種目数

全種目一覧の全容はこちらからご確認ください。

2018年平昌冬季オリンピック競技

2022年北京オリンピック冬季競技大会の競技種目の掲載が日本オリンピック委員会の公式サイトに記事作成時点でなかったため前回大会で行われた競技種目に関してを記載しています。

2018年平昌オリンピック冬季競技大会では、7競技102種目が実施されました。その7競技は以下です。

 

1.スキー

2.スケート     

3.アイスホッケー

4.バイアスロン

5.ボブスレー

6.リュージュ

7.カーリング

 

*補足:2022年北京オリンピック冬季競技大会は、17日間(2022年2月4日から2月20日の間)、中華人民共和国の北京市と隣接する河北省張家口市を会場として開催される予定

2018年平昌冬季オリンピック種別

2018年平昌オリンピック冬季競技大会では、スキー、スケート、ボブスレーが種別のある競技でした。

各競技の種別はこちらです。

 

スキー    

(1)アルペン

(2)クロスカントリー

(3)ジャンプ

(4)ノルディック複合

(5)フリースタイル

(6)スノーボード

 

スケート    
(1)スピードスケート

(2)フィギュアスケート

(3)ショートトラック    

 

ボブスレー

(1)ボブスレー

(2)スケルトン

2018年平昌冬季オリンピック種目

2018年平昌オリンピック冬季競技大会の競技別種目数を表にしました。夏季オリンピックの競技や種目数と比べると非常に少なく感じます。

2018年平昌オリンピック冬季競技大会:競技別種目数

2018年平昌オリンピック冬季競技大会:競技別種目数

全種目一覧はこちらのページよりご確認ください。そのほか、各競技種目数の詳細や平昌オリンピックについてもう少し深く振り返ることができます。

オリンピックの競技・種別・種目を英語にすると?

日本語で「競技・種別・種目」の違いが分かれば、英語でそれぞれを何と表現するかも気になってしまいます。私だけでしょうか・・・(汗)

結論から申し上げますと、競技はsports、種別はdisciplines、種目はeventsと訳せます。オリンピックの競技/種別/種目一覧【日本語/英語対応表】英語版オリンピック憲章から読み解くsports/disciplines/eventsの意味の違いについての記事を書いています。まだまだ検証してみたい方は是非ご覧ください。

 

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今回の記事は、日本オリンピック委員会とオリンピック憲章を基に作成しました。お読みになって頂きありがとうございました。