電池の種類と一次電池

この記事の趣旨は、2021年11月にイギリスのグラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、販売する全ての新車を、主要市場で2035年までに、世界全体で2040年までに電気自動車(EV)などのゼロエミッション車とすることを目指す共同声明の発表を受け、今後、需要が高まるであろう電気自動車の主要パーツである電池に関心を持ち、次世代電池の関連技術や電気自動車および電池の市場を理解していく上で、電池の基礎を知ることが必要であると感じ、記事にするに至りました。

このCOP26の共同声明は、英国やオーストリア、スウェーデン、フィンランド、アイスランド、アイルランド、カナダ、チリ、オランダなど28カ国の政府と、ドイツのメルセデス・ベンツ、米国ゼネラルモーターズ(GM)、米国フォードなどの自動車メーカーや、Uber Technologies Inc.やIngka Group/IKEA(イケア)なども共同声明に署名しました。しかし、日本、アメリカ、中国、韓国、ドイツなどの国や、日本の自動車メーカーや、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)、BMWなどは署名に至りませんでした。

電池の定義

電池とは、「化学反応や光、熱などのエネルギーを、直流の電力に変換する装置」です。

電池の種類

電池の種類(化学電池,物理電池,生物(バイオ)電池)

発電原理から、電池を「化学電池」、「物理電池」、「生物(バイオ)電池」の三つに大別することができます。

 

まず、化学反応によって電気を発生させて取り出す装置、「化学電池」についてです。「化学電池」は、一次電池、二次電池、燃料電池に分類されます。

  • 一次電池…放電が終了すると使えなくなる使い切りタイプの電池
  • 二次電池…充電と放電を繰り返して何度も利用可能な電池のこと
  • 燃料電池…水素などの燃料と酸素を用いて電気エネルギーを取り出す仕組みを持つ電池

*「一次電池」については、この記事で後述しています。

 

次に、物理現象を利用して、光や熱、原子力などのエネルギーを電気に変換する装置である「物理電池」。「物理電池」の種類は以下の通りです。

  • 太陽電池…半導体(p型とn型)を接合した部分に太陽光を照射することで直接電気を発生させる
  • 原子力電池  …放射線同位体が崩れることで発生する放射線の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する
  • 熱電池…接続した二種類の金属や半導体に温度差を与えることで起電力を生み出す

 

最後に、「生物(バイオ)電池」です。「生物(バイオ)電池」は、酵素や葉緑素(クロロフィル)などの生体触媒や微生物の働きを利用して発電する装置を指します。

 

一次電池とは?

「一次電池」は、放電が終了すると使えなくなる使い切りタイプの電池のことをさし、代表的なものは、マンガン乾電池、空気湿電池、アルカリ一次電池、リチウム一次電池です。

「アルカリ一次電池」は、さらに「アルカリマンガン電池」「酸化銀電池」「空気亜鉛電池」の3種類に分類され、「アルカリマンガン電池」は「アルカリ乾電池」と「アルカリボタン電池」に細分類されています。

 

アルカリ乾電池、マンガン乾電池、リチウム乾電池

現在の一次電池(乾電池)の選択肢は、「アルカリ乾電池」が主流であり、その他にも、「マンガン乾電池」や「リチウム乾電池」などがあります。

 

「アルカリ乾電池」は、別称アルカリマンガン乾電池とも言い、マンガン乾電池よりもパワーや容量が大きく、長持ちする特長があり、大電流域から小電流域まで幅広い機器に使用可能です。

「マンガン乾電池」の特長としては、アルカリ乾電池より容量が小さく低価格で、時計やリモコンなど小電流域で動く機器に適しています。

「リチウム乾電池」は、アルカリ乾電池と比べてパワーがあり長持ちで、推奨使用温度範囲が幅広く長期保存が可能なこともあり、価格帯が高く設定されています。

 

「アルカリ乾電池」は、電解液に水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリ性溶液を用い、正極材料に二酸化マンガン、負極材料に亜鉛を用いた乾電池のことです。

一方、「マンガン乾電池」は、「アルカリ乾電池」と同じく、正極材と負極材に二酸化マンガンと亜鉛を用いますが、「アルカリ乾電池」と異なる点は、電解液に塩化亜鉛や塩化アンモニウムなどの弱酸性もしくは中性の水溶液を用いており、乾電池内の構造が若干異なります。その「アルカリ乾電池」と「マンガン乾電池」の構造上の違いとは、大まかに言うと、乾電池の内側と外側部分(正極側と負極側)をひっくり返したような構造であることです。「アルカリ乾電池」では正極の集電体の役割をする鉄などの金属ケースに絶縁処理がされており、その上にラベルフィルムがまかれているだけです。一方、「マンガン乾電池」では負極に亜鉛ケースの外側に絶縁体、さらに一番外側に金属製外装缶(金属ジャケット)となっています。

 

*今後も引き続き、二次電池についてとその市場規模や、次世代電池をつくる企業や団体について等の記事を投稿していく予定です。

 

参考本:

[書籍のメール便同梱は2冊まで]/電池BOOK 今、「電池の世界」が熱い!面白い!! ボルタ電池からリチウムイオン電池、全固体電池、フロー電池、燃料電池、太陽電池、原子力電池、そしてキャパシタまで[本/雑誌] / 神野将志/著

 

最新二次電池が一番わかる 充電・放電の化学からポスト・リチウムイオン電池まで

参考サイト:

電池について | 一般社団法人 電池工業会 (baj.or.jp)

種類としくみ | 電池まめ知識 | モバイルバッテリー/電池 | ソニー (sony.jp)

battery.pdf (nitech.ac.jp)